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大学在籍8年の迷子学生がリスペクトにたどり着くまで

お久しぶりです。マーケティング部セールスプロモーション課の”なかしー”こと中島です。以前はホワイトペーパーについての記事を書かせていただきました。

この記事が公開されるのが11月下旬、学生の方なら自分がやりたいことを見極めつつ、具体的な志望企業についても調べ始めたころでしょうか。

就職は人生の中でも非常に節目です。そのため「子ども」と「大人」の間にある大学生活は成熟までの猶予期間、「モラトリアム」とも呼ばれます。

一般的な大学は4年制ですが、中には1年や2年、そのモラトリアムを延長する人もいます。かくいう私はなんと8年も大学に在籍していました。

2009年4月 東京大学 入学

2013年3月 東京大学 工学部 建築学科 卒業

2013年4月 東京大学大学院 工学系研究科 建築学専攻 入学

2015年3月 同 退学(※単位取得も論文を出さず)

2015年4月 東京大学大学院 学際情報学府 学際情報学専攻 入学

2017年3月 同 修了

2017年4月 株式会社リスペクト 入社・現職

上の表を見ていただければわかるように、留年や休学があったわけではなく「学部4年+大学院2年+もう一回大学院2年」で合計8年です。その間就職活動も2回行いました。

なぜ8年も居座ることになったのか、8年の大学生活と2回の就職活動の末に掴んだものはなんだったのか。

就活の中で自分の「やりたいこと」について悩んでいる人の助けになるかもと考え、自分の経験をお話させていただきます。

 

建築家を目指していた学生時代

私が大学に入学したのは2009年。元々の専攻は建築学でした。

「住」という人の活動の根本的なところに関われるから、理系と文系両方の素養を活かせるから、将来的に「事務所」というものを構えてみたいと思っていたから、などなど。理由はいろいろありますが、大きな要素の一つに様々な条件の土地や空間の価値を創意工夫で引き出していく姿への憧れがありました。

座学、実習、そして設計演習。毎日が忙しく過ぎていきました。しかし3年生になり設計課題もより本格的な内容になってくるにつれて、ある疑問が心の中で大きくなって来ていました。

「自分、設計実務には向いてないんじゃない?」

詳しい経緯は本筋から外れるので割愛しますが、ともかくその段階で「建物を自分の手で設計すること」を生業にすることを私は諦めました。

しかし建築学は設計が全てではありません。設計を支える理論面に関心があったので、建築計画学を特に専攻とし「設計する人」をサポートするようなポジションで建築に関わっていこうと考えるようになりました。

 

一度目の就活・悩み・そして専攻替え

私のいた大学では、理系学生の大半は大学院に進みます。卒論の研究が楽しかったこともあり、私もそのまま学部のときにお世話になった研究室へ進学しました。

修士課程は二年間しかありません。一年目の夏頃からインターンシップなどの就職活動が入ってきます。「設計はしない。でも建築に関わる、土地や空間の価値を引き出せる仕事」として不動産デベロッパーを中心に考えていました。

しかし自分のやりたいことを、自己分析や修士論文の研究テーマ選びで考えていくにつれ、設計の道を断念した時以上の迷いが自分の中で生まれてきました。「『建築』という要素は、自分の中で必ずしも本質的ではなかったのではないか?」と考えるようになったのです。

その悩みを自覚して以降、就活にも研究にもどうにも手がつかなくなってしまいました。自分がやりたかったのはこれなのか? 「不動産デベロッパー」は自分が一生をかけるに値する仕事なのか? 長い間見て見ぬふりをしていた宿題を、目の前に突きつけられた気分でした。視界の端に映る程度ならば気づかないふりをして進めたものを、こうも通せん坊されてしまっては取り組まざるを得ません。

いろいろなことを考え、インプットし、アウトプットし、人にも相談し。半年以上悩み続けて得た答えが「コミュニケーション」でした。

建築の世界でやりたかったこと、趣味の世界でやりたかったこと(高校以来、文芸部に所属して小説を書いていました)、それ以外の興味の対象も、全て「コミュニケーション」というキーワードで整理できることに気づいたのです。

社会人として世に出る前に、一度はきちんとこの「コミュニケーション」というものに正面から向き合いたいと思いました。しかし現在の建築学の世界は、あくまで「より良い建物を作る」ことが最終的なゴールです。

私の決断は別の専攻の大学院に入り直すことでした。それまで基本的にレールに沿って進んできた自分の人生の中で、レールから外れる大きな決断でした。

 

新しい専攻・二度目の就活・そしてリスペクトとの出会い

建築以外での学びは新鮮なものでした。私の場合は「コミュニケーション」という軸で社会学・言語学・コンピュータ科学などの様々な分野を学び直しました。

そのまま博士課程に進み研究者として生きる道もありましたが、それ以上に「自分の問題意識を世の中を良くすることに役立てたい」という気持ちがありました。もともと建築を専攻したのもそれが実践的な学問だったからです。

「コミュニケーションに正面から向き合う」のは修士課程で一区切りつけることはできそう、やっぱり研究したいとなったらそのタイミングで戻ってくればいいと考え、2度目の就活を行うことにしました。

就活のテーマもやはり「コミュニケーション」でした。しかしそのままではビジネスの枠組みに上手くつながっていかないと考え、「より良いコミュニケーションを通じてヒト・モノ・コトのポテンシャルを引き出し、価値を生み出す」を掲げてそれを実現できそうな会社を探しました。

大企業から中小までいくつかの会社に申し込みました。「その企業の生み出せる価値と、課題に悩まされている現場をつなぐ」という発想から営業職を考えていましたが、志望企業からはことごとく不採用を受けてしまいました。

方針を考え直さなければいけない。そう思っていた5月の終わり頃、ある企業の役員面接で言われた言葉を思い出しました。「話を聞いていると、君のやりたいことは営業というよりはマーケティングの領域に近いかもしれないね」

アンケートのような調査をして、あるいは売上の表とにらめっこして、売れるものを探す。マーケティングという仕事に対してその時持っていたイメージはそんなもので、「お客さんに寄り添って課題を解決する」というイメージとは程遠いものでした。しかし調べ直してみると、それはあくまでマーケティングの一側面に過ぎず、より奥深いものなのだとわかってきました。

マーケティングも良いかもしれない。企業のマーケティング支援をメイン事業に一つにするリスペクトからの説明会招待メールが届いたのは、まさにそう思い始めたタイミングでした。

※このあたりのことは採用サイトのスペシャルコンテンツでも詳しく話しているので、よければそちらも読んでみてください。

 

マーケティングの仕事は「企業と社会をつなぐこと」

経営学の大家ピーター・ドラッカーは「企業はマーケティングとイノベーションという2つだけの基本的機能を持つ」と述べています。

イノベーションについてはいまさら語る必要もないでしょう。これまでにない新しい価値・新しい満足を生み出すこと。それは社会を前進させていくために欠かせない要素です。

しかしドラッカーの言う通り、マーケティングもそれと同等以上の意義を持った重要な取り組みです。私はこれを「企業の持つ価値を引き出して社会のために最大化する営み」だと理解しています。

企業のできること、市場が解決してもらいたいこと。この2つを結びつけるのがマーケティングです。既に要素としては存在しているものが、その強みが正しく社会に発信できていないがために顧みられない、あるいは自らのニーズを上手く表現できないために埋没してしまっている。お互いに気づかず気づかれず、出会うことができない。

マーケティング活動はこうした「ディスコミュニケーション」を解消してくれます。そこに目覚ましいほどの新技術は必要ありません。聞き方を変えてみる、伝え方を変えてみる、活かし方を変えてみる。すでにあるものの「ポテンシャルを引き出す」だけで世の中に与えられる価値を増していくことはできるのです。

リスペクトは「機会と選択肢を最大に」を企業理念として掲げ、その実現のため「コンサルティング」と「クリエイティブ」の両輪から様々な事業に取り組んでいます。

ここでいう「コンサルティング」の対象は主に営業・マーケティングの体制整備、つまり企業がそのマーケティング機能の発揮できるように、社会に対する機会と選択肢の提供を最大化するお手伝いです。

これはまさに自分が望んでいた「より良いコミュニケーションを通じてヒト・モノ・コトのポテンシャルを引き出し、価値を生み出す」が形になった事業でした。

8年間の大学生活と2回の就職活動を経た末に、ようやく思い描いていた場所に出会うことができたのです。

 

結び:就活は「自分の芯」を見つける絶好の機会

就職活動中の皆さんの中には、社会の中に自分の価値をどのように見出して行けばよいのかわからず途方に暮れている人も多くいるのではないかと思います。

しかしそんな難しいこと、たかだか数ヶ月の就職活動の中でなかなか見つかるものでもありません。「働く」ということの手応えを掴むまで、私は8年間の大学生活と2回の就職活動を必要としました。

もっと早い段階から自覚できる人もいるかも知れませんし、弊社の舟橋さんのように30代になってからハッと気づくという人もいるかも知れません。タイミングは人それぞれです。

それでも就職活動は自分の「これまで」と「これから」を考える絶好の機会であることに変わりはありません。難しくても、苦しくても、徹底的に考え抜いて「自分の芯」を掴んでそれを実現できる職場を探し出してもらいたいと思います。

もしこれを読んでくれている貴方が私と同じ志を持ち、しかも共に働いてくれるというのならば、それはとても嬉しいです。

あるいはたとえ同じ職場でなくとも、同じようにしっかりとした自分の道を見つけ出してくれたならば、それ以上に嬉しいです。

この記事は皆さんの「機会と選択肢を最大に」することにお役に立てたでしょうか。学生のみなさんがどんなに遠回りになっても最終的に良い結果を掴めることを祈っています。