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ホワイトペーパーって? ちょっとマイナーなマーケのお仕事

はじめまして、マーケティング部セールスプロモーション課の二年目社員、なかしーです。女性ばかりの華やかな部署で、唯一の男子社員として日々頑張っています。


マーケティング、というと皆さんどのような仕事をイメージするでしょうか。

思えば私も二年前、就活をしていたころは漠然と「数字を分析して売れそうなものを探すこと」みたいなイメージを持っていました。

しかし実際に入社してみるとその仕事内容は想像していたよりもずっと幅広く、この一年で多くのことに取り組むことになりました。

今日はその中の一つ、最近当社でも力を入れつつある「ホワイトペーパーを作る」という仕事について紹介してみようと思います。……のっけからマニアックな題材ですね!

 

本題の前に:コンテンツ・マーケティングとは?

さて、本題である「ホワイトペーパー」、あるいは「ホワイトペーパー・マーケティング」に入る前に、前提となる「コンテンツ・マーケティング」というアイデアについてお話しておかなくてはなりません。

 

コンテンツ・マーケティングとは、「ユーザーにとって価値のあるコンテンツを制作・発信することで市場の関心を集めたり、自社製品を知ってもらって購買につなげたり、長期的にはファンとして安定的な顧客になってもらう」というマーケティング手法です。

「お客さんの方から来てもらえるような状況を作る」という点で、いわゆる「プル型マーケティング(※)」の一種でもあります。

※これと対になるのが「プッシュ型マーケティング」、お客さんのところに出向いて商品を売り込むやり方です。いわゆる「営業」はこのイメージですね。

最近注目されている「企業のSNSアカウント」や「企業による動画の配信」もコンテンツ・マーケティングに含まれます。

面白いコンテンツ・役に立つコンテンツは印象に残りますからね。皆さんの中にも面白いコンテンツがきっかけである企業の商品をひいきにするようになった、なんて経験がある人がいるんじゃないでしょうか。

 

一般消費者向けのBtoCビジネスではこうしたやり方も有効ですが、一方で企業を対象としたBtoBビジネスでは「SNSの中の人が面白いことを行っていたから」というだけでは残念ながら取引には繋がりません。

やはり実務に役立つ情報・本業での成果につながるような情報が、BtoBビジネスが対象とするお客さんにとっての「価値あるコンテンツ」となります。

そこでBtoB向けによく行われるのが「企業ブログやホワイトペーパーを使った情報の発信」です。

 

さて、ようやくホワイトペーパーについて話をする準備ができました。

次のパートではいよいよ本題に入ってきましょう。

 

ホワイトペーパーとは?:企業が市場に向けて発信するノウハウ資料

ホワイトペーパー(white paper)は「白書」とも呼ばれ、もともとは政府機関が発行する年次報告書のことを指していました。まとめた報告書の表紙が白かったことが名前の由来だそうです。

それがビジネスの世界にも輸入され、「企業が独自で行った調査の報告書」や「最新の技術について解説した調査資料」などのことを指すようになりました。

現在では更に対象範囲を拡大し、「企業が自社の持つノウハウや情報を市場向けにコンパクトにまとめて提供している資料」のことを総称して「ホワイトペーパー」と呼ぶようになっています。

以前は印刷・製本したパンフレットの形で配布することが多かったようですが、現在ではPDF形式でウェブサイトを通じて配布するやり方が主流になっていますね。

ホワイトペーパー:企業が市場向けに自社のノウハウなどをまとめて発信している資料

ホワイトペーパーのメリット:アピール、リスト獲得、育成

自社のノウハウを惜しげもなく公開するだなんて、企業にはずいぶん損のように思えます。それなのにどうして企業はホワイトペーパーを作るのでしょうか?

実はホワイトペーパーには次のような様々なメリットがあるのです。

 

①市場に対し、自社の持つノウハウや技術力の優秀さをアピールすることができる

企業にとって強みになるようなノウハウや技術は、最先端のものであるだけにそれだけではどこが優れているのかうまく伝わらない場合も多いです(みなさんも、自分の大学の先生の研究論文を読んでもちんぷんかんぷんだったりしませんか?)。

ホワイトペーパーというひとまとまりの資料を作成することで、そのノウハウ/技術がビジネスにおいていかに重要なのか、競合他社に比べてどれほど優れているのかを、土台の部分から解説することができます。

また特に技術やツールの場合、その使い方を解説した資料として配布することで「せっかく高い費用をかけて導入/購入したのに使い方がわからなくて無駄金にしてしまった」みたいな失敗を防ぐことができます。

残念ながら「良いものを作る」だけではその良さはなかなか一般の人に伝わりません。そこの橋渡しをしてくれるのが、ホワイトペーパーという資料なのです。

 

②自社に興味を持つ人達の連絡先リストを入手することができる

現在のホワイトペーパー配布はウェブサイトを通じたPDFダウンロードのやり方が多いですが、その際にはユーザーの個人情報、特に所属名や連絡先を求めることが多くなっています。

ホワイトペーパーは他のコンテンツ・マーケティング施策に比べても、より詳しい内容を含んでいることが多いです。そうした資料を手間を掛けてダウンロードしようとするほど興味を持ってくれているユーザーは、その企業にとって有力な見込み客であるといえます。

資料と交換に連絡先情報を確保することで、企業はそのユーザーや所属企業に対し直接的なアプローチをかけていくことができるようになります。

ユーザーの方も、自社が現在どんなところに関心を持っているのか・どんなサービスに興味があるのかを互いにわかった上での話ができるため、実のある商談に繋げやすくなります。

ビジネスにおけるマーケティングの重要な目標の一つが「お客さんになってくれそうな人たちを探し出すこと」であることを考えると、ホワイトペーパー・マーケティングはプル型施策でありながら直接的な売上にも結びつけやすいというメリットを持っていると言えるでしょう。

 

③ホワイトペーパーを通じて見込み客の知識レベルを向上させ、発注まで近づけることができる

ホワイトペーパーを読むことによってユーザーは「これまで知らなかったことを知る」ことができます。

そこには「こういうことをできる製品/サービスがある」「このサービスが取り組んでいるこれは、これまで見過ごしてきたが実は課題だったのかもしれない」という気付きも含みます。

このような気付きがあれば、「この製品/サービスがあれば今抱えている課題を解決できるかもしれない」となり、ホワイトペーパーが取り上げている内容について興味関心の度合いを強め、商談や取引につなげることができるでしょう。

このように企業の側から働きかけてユーザーの購買プロセスを次の段階へと促すことを「見込み客の育成(リード・ナーチャリング)」といいます。

育成をして営業が「刈り取るだけ」の見込み客を用意することはマーケティング部門の重要な仕事であり、ホワイトペーパー(を含んだコンテンツ・マーケティング全般)が営業活動における重要な要素であるということがわかるのではないでしょうか。

 

コンテンツをホワイトペーパーという形で発信していくことには他にも様々なメリットがあるのですが、このブログでそこまで言及するのは少々話が細かくなりすぎてしまいます。

今回は一旦置いておき、次の機会があればお話させてもらうことにしましょう。

 

ホワイトペーパー作成のポイント:読み手のことを考えた設計が第一

ホワイトペーパーはマーケティング施策の一環なので、マーケティング部門、その中でも特に自社商材の販売を促進するセールスプロモーション課の担当です。

学生時代から文章を書くことに慣れていたからか、去年から今年にかけてプロトタイプも含めて多くの種類のホワイトペーパー資料作成を任されてきました。

そんな経験の中で感じた、「ホワイトペーパー作成時のポイント」をご紹介します。

 

(1) ターゲットの想定、特に知識レベルの想定は綿密に

ホワイトペーパーに限らず、コンテンツは「読者に対して新しい情報を与えるもの」として作成されます。

ホワイトペーパーは内容が比較的込み入ったものになりやすく、またそうしたことをわかりやすく解説することでユーザーの育成をすること自体が狙いの一つになっています。

そのため「読者はどのくらいまで前提知識として持っているのか」「説明を省きすぎてわかりにくくなっていないか、あるいは丁寧にやりすぎて冗長になっていないか」という観点からの検討が特に重要です(※)。

※この記事もうっかり「ホワイトペーパー」というマイナーなテーマにしてしまったために、特に学生の皆さんに対してどこまで説明するか非常に苦労しました。ブログのテーマ選びは計画的に……。

(2) 図表を活用し、直感的な理解をサポートする

ブログのような記事コンテンツ以上に、ホワイトペーパーでは図表の活用が鍵になります。

その理由となるのがコンテンツのボリュームの違いです。

では、ホワイトペーパーはどのくらいの分量で作成するのが適当なのでしょうか?

明確な基準があるわけではありませんが、冊子の資料としては「20ページ前後」が一つの目安とされています。

極端に長いわけではありませんが、それでも文字だけだとしたら一気に読み通すのを面倒に感じてくるページ数でしょう。

少なくとも一般的な記事よりは長くなるため、要所にビジュアル要素を取り込み、パッと見るだけでも大まかな内容がつかめるようにしておくことがポイントになります。

「インフォグラフィックス」のように多くの情報を巧みに一枚のビジュアルに落とし込む手法もあります。部門をまたいで多様な力をまとめていくこと(インフォグラフィックスの場合デザイナーさんのデザインスキル)がより良い成果物のために重要です。

 

(3) 「ユーザーの読後の行動」をしっかりイメージしてストーリーを組み立てる

コンテンツの最終的な目的は「読者に新しいアクションを起こしてもらうこと」です。

これは面白さだけを追求しているようなエンタメ系のコンテンツでも例外ではありません。それらの場合、例えば「SNSなどを通じ拡散してもらう」というアクションが狙いとして想定されています。

ターゲットの区分や状況によってどんな行動を起こしてもらいたいかは異なりますが、この原則は変わりません。「ユーザーの読後の行動」を具体的に思い描きながら、最終的に「さあ、~しよう!」という結論に着地できるような導入~本文展開~まとめの流れを組み立てていくことがポイントです(※)。

※純粋なマーケットリサーチ系のホワイトペーパーにはこの観点は必要ないかもしれませんね。

 

いずれのポイントも根っこにあるのは「読み手のことを考えた作りにする」ということです。

マーケティングは企業と市場(顧客)のコミュニケーション。常にホワイトペーパーの向こうにお客さんの姿を見ながら作っていくのが大切です。

 

結び:奥深いマーケティングの仕事

今回の記事では弊社セールスプロモーション課が日常的に行っている業務の一つ、「ホワイトペーパー作成」についてお話いたしました。

まだまだ2年目で本格的に取り組めた業務の幅が広くないとはいえ、新卒向け記事の題材としてはいきなりマニアック過ぎたかなー? と少々反省しています。

しかしホワイトペーパー・マーケティング自体は「BtoBで使える一歩進んだコンテンツの提供形態」として注目度が高まっており、日本でも今後普及が進んでいくと考えられている施策です。

もしこの記事を読んでいるあなたがどこかの企業に入社してマーケティング関連部署に配属されたとして、そこがホワイトペーパー・マーケティングに取り組んでいるならば、その企業は新しい施策を積極的にやっていこうという進取の気風がある組織だと言えるでしょう。

 

弊社リスペクトのマーケティング部門ではこのような新しい施策から正統派の基本施策まで幅広く扱いながら、「機会と選択肢を最大に」というミッションを達成するために日々努力しています。

どれも決まった手順をうまく回していくタイプの業務ではなく、その都度頭を捻って工夫を凝らしながら進めていく楽しさがあります。

試行錯誤するのが好きな人、考えるのが好きな人。そんな人がいればマーケティング部門に来てみてください。退屈しない毎日を約束します!