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バイトライターが社員になって3カ月で長になった話

ライター

どうもこんにちは、リスペクトでライター&エディターをしているTKRです。

突然ですが、新卒で弊社への入社を検討している皆さんは、こんな話を聞いたことがあると思います。

 

「リスペクトは誰にでも挑戦する機会が与えられている会社です」

 

なんか胡散臭くないですか。

でも、嘘じゃないんです。

 

今回は、かつてこの会社でアルバイトをしていて、正社員に登用されてから3カ月で、部門の長になったライター(以下、バイトくん)の話をしたいと思います。

 

バイトくん、リスペクトでアルバイトを始める

昔々というほど昔ではない昔、1人のバイトくんがリスペクトに入社しました。

 

彼が任されたのは、電子書籍(に使うデータ)をつくる仕事。

 

まず、裁断された書籍のページを1枚ずつめくります。

次に、ページの文章をインデザインというソフトにひたすら入力します。

そして、書籍とデータを見比べながらテキストを太字にしたりします。

そんな仕事です。

 

とても退屈そうですが、それはバイトくんが望んだ仕事でした。

なぜ、彼はそんな地味な仕事を始めたのでしょう。

 

それは、バイトくんに夢があったから。

小説家になるという夢が。

 

何でもいいから小説に触れられる仕事がしたい。

そう思って選んだ仕事でした。

 

だから、ほんとは本屋さんでも図書館でもよかったのです。

けれども当時、小説に関連する仕事を募集していたのはリスペクトだけでした。

 

それに、

 

未経験歓迎!

時給1,000円!

 

当時にしてはお給料も高かったのです。

 

ブラインドタッチもできない。

ショートカットキーもわからない。

 

それでもバイトくんは、精いっぱい仕事に取り組みました。

 

アルバイトに交通費が支給されないと知ったのは、入社してからのことでした。

 

バイトくん、ライターに誘われる

電子書籍をつくる仕事はたったの2カ月で終わってしまいました。

バイトくんは焦りました。

小説を勉強するために通っていた学校の授業料を払わねばならなかったからです。

 

そんなとき、「在宅アルバイト募集!」というメッセージが社内のチャットで流れました。

 

彼は二つ返事で「やります」と答えました。

時給は800円に下がりましたが、会社にも慣れてきたところだったし、一から新しいバイトを探すのも面倒だったので、とにかくやってみることにしたのです。

 

新たに与えられた仕事は、雑務的なデータ入力でした。

時間はかかるけれど、正社員がわざわざやるまでもない、そんな仕事。

 

バイトくんは電子書籍の仕事で身に付けたショートカットキーを駆使して、データを打ち込みました。

 

コピー&ペースト。

カット&ペースト。

コピー&ペースト。

 

6時間分の仕事を3時間で終わらせて、バイトくんは自腹でバスに乗り帰宅します。

 

ところで、在宅勤務が認められているのに、なぜ彼はわざわざ出社していたのでしょうか。

 

理由は、彼の自宅にあったPCの動作がとても重かったから。

そして、社員さんからメールで送られたZIPファイルの開き方がわからなかったから。

 

わざわざ交通費を払っていたので、最初の1時間の時給は実質300円になりました。

けれど、良いこともありました。

 

社員さんと会話できたことです。

 

「大学ではなんの勉強してるの?」

「小説です」

 

「仕事終わらせるの早いらしいじゃん」

「そうでもないですよ」

 

「今度飲みにいこうよ」

「ごちそうさまです」

 

みんな、実にフランクに話しかけてくれます。

それは社長も例に漏れませんでした。

 

「うちのライター手伝ってくれない?」

「ちょっと考えてもいいですか」

 

「勉強になると思うんだけどなあ」

「ちょっと考えてもいいですか」

 

「いつからやる?」

「ちょっと考えてもいいですか」

 

小説の勉強はしているけれど、ライターの仕事はまったくわかりません。

ライターの仕事を始めたら、小説の勉強がおろそかになるのではないか?

バイトくんは気長に悩むつもりでいました。

 

ところが、

 

「ライターの件、いつまでにお返事すればいいですか?」

「男なら即決でしょ」

「じゃあ、やります」

 

こんなやり取りがあり、バイトくんのライター人生がスタートしました。

 

「やる」と決めた理由は単純。

社長や会社から「機会が与えられた」ことが嬉しかったからです。

 

バイトくん、ライターの難しさを知る

ライター未経験とはいえ、学校で小説の勉強をしていたバイトくん。

文章を書くことには、それなりに自信を持っていました。

 

特別な指導や研修はなく、さっそく実案件の原稿執筆を任されます。

情報収集に時間をかけ、ベストな文章を書き上げ、上司に提出しました。

 

どんな反応をもらえるかなと、彼はワクワクしていました。

緊張しながらも、ポジティブなコメントを期待していました。

 

しかし、返ってきたのは真っ赤になった原稿でした。

赤ペンで、これでもかというくらい直しが入っていました。

 

バイトくんはショックでした。

自信満々だった自分が恥ずかしくなりました。

 

同時に反抗心も芽生えました。

この文章の何が悪いんだ、と。

 

イライラしながら赤入れを確認してみると、良かれと思って施した文章表現が、すべて書き換えられていました。

じわりじわりと、心の中のイライラが大きくなっていきました。

 

しかし、

 

「この文章はね、お客さまのホームページに載るんだよ」

 

上司からの一言に、ぐうの音も出ませんでした。

それはつまり、お客さんの文章だよ、ということ。

 

バイトくんは、凝った文章表現やドラマティックすぎる構成に自信をみなぎらせていました。

でも、それらはすべて、自分勝手な自己表現でしかありませんでした。

 

どんな立場で、誰に向けて、何を目的として、文章を書くのか。

伝えるべき情報が伝わらなければ意味がないのです。

 

バイトくんは、小説家とライターの違いを思い知りました。

 

バイトくん、正社員になって文句を言う

読む人に伝わる文章を書こう。

それがバイトくんの基本姿勢になりました。

 

それからというもの、バイトくんは上司や先輩に赤を入れられまくって、「ここはなぜ直されたのか?」と考えまくって、文章を書き直しまくりました。

 

そうすること約2年。

 

時間はかかりましたが、ついに彼は読む人に伝わる文章を書けるようになりました。

時給も1,000円に戻してもらえました。

 

そして彼は、原稿制作マシーンになりました(いい意味で)。

上流から落ちてきた企画や指示をもとに、ひたすら調べてひたすら書く。

それを繰り返しました。

 

ひと月で50本ほどの原稿をさばけるようになった頃には、同僚アルバイトへの指導、新入社員の原稿チェック、外部ライターさんとのやり取り、メディアサイトの企画出しなどを任されるようになっていました。

 

電子書籍をつくる仕事を始めてから、ここまで来るのに3年半。

アルバイトなのでお客さんと直接やり取りすることはほぼありませんでしたが、ライターとして、それなりの自信を持てるようになっていました。

 

そして、学校を卒業したタイミングで、改めて社長から声をかけてもらえました。

晴れて、正社員として採用されたのです。

 

バイトくん(正社員)はライターとしてのこれからに思いを馳せました。

 

もっともっとライターとして技術を磨いていこう。

もっともっといろいろな経験を積んでいこう。

 

ところが、

 

バイトくんと入れ替わるように、突然、上司から退職する旨を告げられました。

未経験の頃からずっとお世話になっていた人でした。

ライターとしての恩師でもありました。

 

止むに止まれぬ事情での退職でしたが、ぐるぐると、後ろ向きな考えが頭の中を駆け巡りました。

 

この人がいなければやっていけないんじゃないか?

これから自分はどうしたらいいんだろうか?

いっそ第二新卒枠で就活を始めようか?

 

ライター部門では、しばらく管理者不在の期間が続きました。

 

正社員になって日報を書くことが義務になったバイトくんは、その間、得意の文章で現状に対する不平不満を爆発させていました。

 

「あれがダメだからこんな状況になっていると思います」

「その仕組みがないからこれができていません」

「こういう人がいないからそれが整わないんです」

 

日々、文句を言いたい放題でした。

お叱りを受けても致し方ないレベルでした。

 

それでも彼は、思うままの不満と意見を日報に書き続けました。

 

バイトくん、ライター部門の長になる

そんなモヤモヤを抱えながら過ごしていたある日のこと。

バイトくんは役員会に呼び出されました。

 

役員会は当時のリスペクトにおける意思決定の最高機関です。

スター・ウォーズでいえば銀河元老院。

サッカーでいえばFIFA Congress。

 

バイトくんはビビりました。

日報に書いた不満を反すうして、頭を抱えました。

何らかの罰を受けるかもしれない、と。

 

しかし、言い渡された内容は、想像とはまったく異なるものでした。

 

「ライターをまとめてほしい」

 

どうしてそんな話になるのか。

頭の上に「?」が100個くらい浮かびました。

 

理由はさておき、バイトくんにはその大役を担える自信などありません。

 

3年くらいライターを経験してきたとはいえ、正社員になってまだ3カ月。

お客さま対応も満足にできないし、取材経験も数えるほどしかない。

まだやったことのない業務や知らない言葉だって、星の数ほどある。

 

経験値が、圧倒的に足りていませんでした。

 

それでも、リスペクトは彼にライターの長になることを打診したのです。

 

理由はシンプルでした。

 

最も多くの課題意識を持っていたから。

それを解決できるだけの素質があると判断したから。

 

あとはバイトくんの「やる気」次第でした。

その「やる気」は、当事者意識や主体性と換言できるものです。

気概をもって、己の責任のもと、変化のために、邁進できるか。

 

「やります」

 

不安しかありませんでしたが、バイトくんは挑戦を選びました。

これまで放った不平がそのまま自分に返ってくることはわかっていました。

不満を解決するための答えなんて、何も思いついていませんでした。

 

それでも、何かを変えると期待してくれるのなら、挑戦してみよう。

 

そんな思いで、バイトくんはライターの長になったのでした。

 

思えば、彼はそれまでのリスペクトでのさまざまな転機で、いつも挑戦を選んできました。

そして、その挑戦した場所で、精いっぱい努力してきました。

 

彼はライターの長ですが、努力する姿勢はバイトのときから変わりません。

「リスペクトは努力するすべての人に挑戦する機会が与えれられているんだよ」

今では口を酸っぱくして、社員にそう語りかけています。

 

誰にでも挑戦する機会が与えられている

以上、アルバイトが正社員になって3カ月で部門の長になったお話でした。

いろいろ端折ったので、もし詳しく聞きたい方がいたら、座談会などに参加して先輩社員に質問してみてください。

 

「リスペクトは誰にでも挑戦する機会が与えられている会社です」

 

まだ胡散臭いと思う人は、実際に社員と会って話してみるとよいです。

バイトくんの話は、ひとつのストーリーに過ぎません。

きっと、また違った挑戦の話が聞けると思いますよ。