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【広告系・WEB系企業の営業マン日誌】その3:営業は数字だけ追っててつまんない?

リスペクト営業の端田が考える「営業とは何か?」シリーズ。今回は、営業なら誰もが毎日考えさせられる「数字」の話をご紹介します。

 

1.はじめに~営業が追うべき数字とは?

営業マンが追うべき数字。それは業界に関係なく、ほとんどの場合、売上だと思います。そして、営業マンのほとんどの方が悩まされているのもこの売上数字ではないでしょうか?

4月に入社して3か月くらいの研修を終えた新卒1年目の方、あるいは昨年1年間よくわからないまま、いつの間にか営業配属になっていた2年目の方。梅雨時期、あるいは初夏の7月くらいになると、この数字をみつめ、売上数字について深く考え始めている頃かと思います。特に2年目の方たちは、上司や先輩からしっかりとご指導いただく機会が増えたかもしれません。

きっと愛の鞭なのでしょう。そんな愛の鞭に耐えながら、「はやく梅雨前線とともに、この数字地獄よ去ってくれ!」と強く願うもなかなか去ってはもらえず、そして8月の長期休暇前後にため息まじりに一言。

「営業向いてないのかな?」

正直、私もどういう人が営業に向いていて、どういう人が不向きなのかはわかりません。尊敬する先輩たちは、みんな営業としてすごい人たちばかりなのに、そういう人たちに限って「俺は営業向いてないんだよ」「俺ほど営業向いていないやつはいない」なんていいます。優秀な営業マンは謙虚です。そして目指しているゴールがずっと高いところにあるのでしょうね。ちなみに僕もこのセリフいいますが、、、周囲の反応はそれとは違いますとだけ言っておきます。

さて、話を戻しますが、向き不向きに関わらず、この優秀な営業マンの人たちを見ていると、行動・思考パターンに共通項があるように思えます。それが売上以外に考える「もうひとつの数字」です。もし今、「営業に向かないかも」と思っている方がいましたら、この文章を読んでから、向き不向きについて考えてみても遅くはないかと思います。

それでは、どうぞ。

 

2.もうひとつの数字~そのイチ:KPI

優秀な営業マンは、売上数字をどのように積み上げていくのだろう?と考えたとき、どうやら単に売上の数字を追っているだけではないようです。いつも「何件訪問した?」「何回提案した?」と、売上数字を獲得するまでの間の過程を細かく見ているようです。逐一分けないにしても、どうやら営業が追うべき数字を大きく2つに分けているようです。

そのよくある例がKGIとKPIになります。前者KGIとは、ゴールを意味しています。つまり、私達営業マンにとってのゴール、売上です。一方、後者KPIとは、そのゴールに至る行動プロセスつまり、パフォーマンスを数値化・指標化する考え方です。

たとえば、みなさんのゴールが「1台の自転車を売ること」で、かつてその自転車を1台売ったことがあるとします。また、その1台の自転車を売るまでにみなさんは100件の訪問・商談をしていたとしましょう。ざっくりいうと、この100件まわるというパフォーマンスこそがKPIです。

このように、訪問件数であったり、提案数であったり、メーカーさんだと見込みのお客様へのサンプル譲渡数に設定しているところもあります。きちんと考えている企業ですとこれらの要素は当然入っていますし、もっと細分化された複数の指標が設定されています。これらの指標となる数字を獲得していくことで、はじめて売り上げにつながる。そういう考え方がKPIという指標を取り入れるざっくりとした意味です。

いつも売上ノルマを達成している優秀な営業マンには、数字獲得パターンがあると聞きます。「あれをやって、これをやって、こういう人たちに話して、、、、とするとクライアントの稟議申請が通って、最終的に発注いただける」というパターンです。このKPIをきちんと設定し、KPIの数字を達成することによって、高い確率で売上ノルマを達成できているといっても過言ではありません。

中学生のときに数学に強くなるために、まずは簡単な計算問題をたくさんといて正解率をあげると、次第に難問もとけるようになり、最終的には数学の点数があがったという経験をした人も多いのではないでしょうか?これも、計算問題の練習や数学の難問がKPIで、数学の点数をあげることがKGIとなります。

RPGのゲームでいえば、スライムを倒しながら経験値をため、レベルをあげていくことはKPIです。お金をためて強い武器をあつめることもKPIといえます。最後のドラゴンや魔王を倒す(=世界が平和になる)ことはKGIです。

そうです。すでに察しの良い方ならお分かりと思いますが、この方法はゲーム感覚で数字を埋めていくことができます。なので、ノルマという言葉に威圧感を感じて、どうにもやる気にならない人にはこのKPIでパフォーマンスを数値化する方法がおすすめです。

 

3.もうひとつの数字~そのニ:お客様の数字

さて、前章では、自身の成果を上げるための「数字」についてお話しました。この章では、それとは少し視点を変えたお話をします。

かつて、広告代理店に勤めていたころの話です。あるクライアントを担当していたのですが、私はそのクライアントにいつも怒られていました。チラシの校正カンプを何度直しても、何回説明しても「これじゃ、売れないよ!」「ちゃんと考えてるの?」「やっぱり、広告屋に頼んでも自分ごとじゃないからな」といわれ。ひどいときは、校正紙を床に投げつけられたこともありました。

正直、辛いとか悔しいとかではなく、いったいどうしたらこの怒りがおさまるのだろう?とだけ考えていました。会社にもどってから、デザイナーと打ち合わせをしながら「どんなデザインが好みなのだろうか?」と考え込みました。しかし、何をだしてもまた戻されるイメージしか思い浮かびません。「そもそも、この業界のこの商材って売れないじゃないか」とさえ考えるようになりました。

その瞬間です。自分が間違っていることに気づきました。それまでは、ただただクライアント(=社長)に気に入られることと、チラシの構成としてきちんとまとまっていることばかりに気を取られていました。失礼な話ですが、斜陽産業とも決めつけていました。デザイン云々の話ではなく、このプロジェクトに取り組む姿勢として間違っていたのです。仮に斜陽産業だとしても、まったく売れないわけではありません。今も確固たるニーズがあります。

そのニーズをしっかり考えたことがあるのか?
そもそも今もこの商品を買っている人たちは、この商品の何に惹かれて購入しているのだろうか?
この商品はどのようにチラシに掲載されていると、買いたくなったり、興味関心を抱くのか?

考えているようで考えていないことがたくさんあることに気づかされました。そのことに気づき、普段ならデザイナーにまかせるラフスケッチも自分で書き、コンセプトとターゲットをきちんと伝え、過去の実績なども参照しながら、どのようにしたら売れるか?少なくとも来店者数を増やすことができるか?ということだけにテーマを絞って、チラシを作成することにしました。

結果、その後の打ち合わせでクライアントに絵コンテを見せたら、一発でOKとなりました。

「いいね、これは売れる!」

それは初売りのチラシでしたので、折り込まれるのは1月1日の朝刊です。初売りは1月2日(仙台の初売りは1月2日からです)。当然、仕事は休みの日なのですが、気になってしょうがないので、新年のご挨拶がてら、近所の店舗に様子を伺いにいきました。

すると、激混みといえるほどではなかったのですが、お客さんが来店されていました。1組や2組ではなく、ちゃんと複数組いました。そして、休み明けに訪問した際に「初売りどうでした?」と尋ねたところ、「まだセール期間中だから明確な結論はでてないけど、いつもより手応えは感じているよ!」と嬉しいお言葉をいただけました。

このときの気持ちを忘れず、夏休みの商戦ではクリエイティブディレクターも同席のもと、どのように販売する?何を一番の目的としてこの商戦に取り組む?というテーマから熱く議論を交わしました。

その結果、前回の初売り以上の来店者数を得ることができました。実際、夏休み中にこちらのお店に伺ったところ、駐車場は車でいっぱいになっていました。そして、社長以外の専務からも「チラシがよかったね。今回は本当にちゃんとしたチラシだったよ!」と。

以上から、おわかりいただけましたでしょうか?

「もうひとつの数字〜そのニ」とは、クライアントの数字です。

仮に、前章のKGIとKPIになぞらえるなら、KGIは売上販売数・KPIは来店者数となりますし、もっと広く捉えれば、チラシに興味を持ってもらう人数ということになります。興味をもってもらう人数が増えれば増えるほど、来店者数が増える可能性は高まります。

そして、もし今、売上が伸び悩んでいる人がいたら、クライアントの売上や来店者数が伸びるにはどうしたらいいか?という視点を持ち、このクライアントの商品やサービスを好む人達はどんな人達なのか、そして、この人達がチラシや販促メールなどに興味をもち、来店するためにはどうしたらいいかについてあらためて考えてみてはいかがでしょうか?

その数字を考え、そして目標を達成したとき、きっとクライアントから喜ばれるはずです。その喜びが楽しみだからこそ、私達営業は日々様々なクライアントをまわっているといっても過言ではありません。

 

4. おわりに〜もうひとつの数字:おまけ編

さて、最後に先輩から教えられたこんな話をお伝えします。私が2年目くらいのときに教えていただいた話です。

当時の私はなかなか数字が伸びなかったのですが、ラッキーなことに定期的に何らかの案件を相談・発注してくださるクライアントはいました。そうなると、私はただ苦労して新規をまわるよりも、自分を贔屓にしてくれるクライアントの方が数字をたくさんくれるだろうという安直な考えに走り出しました。

しかし、実際には数字は伸びません。そりゃあそうです。クライアントも無限に予算をもっているわけではないので、不要と判断した営業ツールの発注はありません。結果的に数字は増えず、会議のたびに上司から怒鳴られていました。

「営業向いてない、やめようかな」

そんな心情を知ってか知らずか、尊敬する先輩からこんな質問を投げかけられました。

君がやめたとき、たとえば同業他社に移籍したとき、あるいは独立したとき、君がまたドアノックしてくれることを心待ちにしているクライアントは何社いる?君の営業活動のファンは何人いる?

ある先輩からは次のように言われました。

本当に自分にとって大切なクライアントってどんなクライアントかわかる?明日10万円の売上がないと、ノルマが達成できないとか、極端な話、クビになるとか、会社がつぶれてしまうってことを伝えたとき、『いいよ、君が困っているなら、10万用意しよう』といってくれるクライアントだよ。好きな提案やかっこいいデザインを受け入れてくれるクライアントではないよ、営業にとっては。君には、そんなクライアントは何社いる?

びっくりしました。たしかにそのとおりです。もし自分が今、フリーランサーで、家族も抱えていて、明日までに売上がないと一家離散なんて状態にでもなっていたら、こういうクライアントは1社でも多いほうがいいはずです。

私には今、何社そんなクライアントがいるのだろう?

私の営業活動をまってくれているクライアントやその担当者は何人いるのだろう?

もちろん、1社いるだけでもすごく嬉しいですし、幸せなことだと思います。でも、営業として考えた場合、KGIであろうがKPIであろうが数字を追うことがノルマとされているのであれば、1社でも多くあなたのドアノックを心待ちにしているクライアントがいたら、日々の営業活動がきっと楽しくなるのではないでしょうか。